「フロッピー」「ワープロ専用機」と聞いてすぐにイメージが湧く人は、それなりの年輪を重ねた方だと思います。その中には、ワープロ本体は捨てちゃったけど、その時に作った文書フロッピーディスクを取ってあって、最近再チャレンジで始めたパソコンで活用したい、という方も少なくないようです。
ワープロ専用機のフロッピーは、ほとんどの場合、パソコンのファイルとは異なる独自形式で保存されています。各社が独自の飾り文字や機能を競っていたためです。その後、ワープロ専用機がパソコンとワープロソフトに淘汰され、フロッピーディスクもMOやデータCD、DVDを経てUSBメモリやクラウドストレージに置き換わっていきました。ちなみに、パソコンのハードディスクドライブがなぜC:ドライブから始まるかというと、A:とB:がフロッピーディスクドライブに割り当てられていた名残です。伝説の国産パソコンPC98だけは、A:ドライブがハードディスクに割り当てられていましたが。ついでに、今の一般的なパソコンのハードティスクは、フロッピーディスク50〜100万枚分くらいのデータが入ります。普通の人が文書作成で使い切ることはまずないでしょう。逆にフロッピーディスクには、最近のスマホで撮影した写真はせいぜい1枚入ればいいほうです。技術の進歩は凄まじいですね。
今や手元にないワープロ専用機、そのフロッピーの文書を取り出すには、まずはパソコンに接続可能なフロッピーディスクドライブが必要ですが、USB接続のフロッピーディスクドライブは、製品在庫も少なくなっていて、昨今は5,000円程度するようです。これに加えて、ワープロ専用機の独自形式の文書ファイルをパソコンソフトで読める汎用形式に変換するソフトウェアが必要になります。これは2種類くらいの市販品が現在も最新OSに対応するバージョンアップを続けながら提供されています。そして、元の文書の表や差し込み画像、グラフなどもレイアウトを維持して忠実にワープロソフト形式に変換できるなど高機能です。しかし、1万5千円程度とかなり高価です。パーソナルユースで作成した文書は、それほど凝ったものは少ないので、変換したいフロッピーが100枚もあれば別ですが、文書が紙で残っていたりすると、電子的な変換を諦めてもう一度入力しようか、というほどの金額ですね。
実は、十数年前ワープロ専用機からパソコンに乗り換えることになったたくさんの人も同じお困りごとを抱えていました。そして、そのうちの一部の腕がある人が、完璧な変換はできないまでも、文字だけは取り出すことのできる変換ソフトを自作し、ありがたいことにフリーウェアとして公開してくれていました。
ということで、手持ちのUSBフロッピーディスクドライブと、フリーウェアで今回のお困りごとも無事解決! と上手くはいかないのが世の常です。これらのフリーウェアが公開された20年前は、やっとWindows 95が出始めた頃、多くのフリーウェアは16ビットのMS-DOS向けに作られていました。64ビットのWindows 8.1で果たして動作するものなのか? 試してみましたが、案の定コマンドプロンプト上では無情なメッセージが表示されるのみ。
「うーん、困った。秘宝のlibretto 20を出さざるを得ないか。しかし、今さら正常動作するんだろうか?」と関連情報を探っているとこんな記事が。
[第612回]で、Windows7(64ビット版)では、16ビットのアプリケーションは実行できません、と書きました。 64ビットのWindowsOSで16ビットのアプリケーションが動くソフトウェアを作りましたから、よろしければ試してみてください。 というメールです。 |
できた! 素晴らしい!! 素晴らしすぎる!!!
敬意を表し、ありがたく使わせていただきます。あなたのGJにより、15年前のワープロフロッピーに入っていた1000を超えるカラオケ曲目リストをExcelに変換して並べ替えたり色々やりたい、という国立のおばあちゃんの望みは、ほどなく叶えられることでしょう。
今回は、元データを誤って壊さないように、生データをUSBメモリーにコピーした後はフロッピーディスクドライブは使いませんでした。その代わり、上記フリーウェアの操作仕様に合わせ擬似フロッピーディスクドライブを作るためにsubstコマンドを使いました。