【お困りごと その七】スマホの容量が足りない

 スマホやタブレットの容量が足りないと「容量が不足しています」と画面に表示されて、アプリが追加できなかったり、写真や動画を撮れなかったり、遂には電話もインターネットも繋がらなくなったり、といろいろ不便なことが起こります。でも、この「容量」って具体的に何のことなんでしょう?

 スマホやタブレットの「容量」には、データ通信の容量、バッテリー(電池)の容量、作業メモリの容量、アプリやデータなどを保管しておくストレージの容量など、いくつもありますが、ここではストレージの容量を指します。機種によっては、作業メモリをRAM、ストレージをROMと表現するものもありますが、このコラムでは「ストレージ」と表現することにします。

 街の小さな広告会社に勤めるK君のオフィスを想像してみましょう。K君は営業から企画制作までほぼ全ての業務をこなしています。撮ってきた商品や店舗の写真は自分の作業机でアルバムに分類、整理した後、後ろのキャビネットに収納しています。キャッチコピーを考えたり、素材を切り貼りしてフライヤーを完成させるのもこの机です。普段は仕事が終われば机の上は綺麗さっぱり、キャビネットに片付けて帰宅します。仕事が集中する年度末や商戦前は、いろんな仕事を並行してやっつけるので、契約書や写真ファイルなどをキャビネットから取っ替え引っ替え出し入れし、机の上は開いたファイルに作りかけのフライヤーや連絡メモなどの書類や文書で溢れんばかりになります。新人の頃は隙間だらけだったキャビネットも3、4年も経つともうほとんど空きがありません。こうなると不要書類を整理してキャビネットを空けたりと余計な仕事が増え始めます。ある年の3月、K君はキャビネットに入りきらないファイルと積み上がった書類に囲まれる中、机に顔を突っ伏して最後にこう言って寝落ちしてしまいました。

 「もう限界、電池切れちゃったみたい。」

 スマホも、K君やK君のオフィスと似たようなものです。K君同様、スマホも電池の容量に限界があります。作業机の広さは、作業メモリ(RAM)の容量に相当します。そしてファイルを収納するキャビネットの大きさが、スマホのストレージの容量に相当します。

 もうお分かりのように、ストレージの容量が不足すると、スマホはストレージに空きを作ろうと必死になり、余計に電池を消耗したり反応が鈍くなったりし、遂には作業メモリを空けられず、たとえ電池が残っていても、新しい作業ができなくなってしまうのです。

 では、どうすればスマホの容量不足を防げるのでしょうか?

 まずは、もう使わないアプリや聞かない音楽、失敗した写真や動画をこまめに削除することです。特に動画は容量を消費します。しかし、写真など削除するにも限度があり、使い続けていれば、いずれは容量一杯まで使い切ってしまうことでしょう。

 そういう場合には、スマホのストレージから外に移動することを検討します。外に移動するために、PCに繋いだり、microSDカードスロットのあるAndroidスマホであればカードを挿して移動する方法があります。しかし、この方法では、外に出したものを再度利用するたびにPCに繋ぎ直したり、カードを入れ替えたりする手間が生じます。そこで、最近利用者が増えているのが、このような不便さを解消する、クラウドストレージサービスです。

 クラウドストレージサービスはSaaSの一つです。単にネットワーク上のストレージに保管するだけでなく、例えばAppleのiCloudでは、オリジナルの高精細な写真をクラウドストレージに移動すると同時に、同じ写真の解像度を下げてiPhoneに残す連携処理を自動で行いiPhoneのストレージ容量を増やします。容量の増えたiPhoneでは、ユーザが低解像度写真の1枚を拡大すると、自動的にその1枚の高精細版をクラウドストレージから取り出して表示するなど、クラウドならではの様々な付加機能があります。